隣人の死

6月 5th, 2017

先週、マンションの管理会社の人から携帯に電話が掛かってきた。私のマンションの隣の部屋に住んでいる人が、室内で病死していたという。私より少し上の男性の一人暮らしだった。

連絡が来るまで、まさか壁一枚隔てた部屋でそういうことが起きていたことに気が付かなかった。私のマンションは防音がしっかりしているので、隣の物音も聞こえない。夏場に窓を開けている時に隣からテレビの音が聴こえてくる程度だった。様子がおかしいことに気がついたのは、私と反対側の方の、彼の部屋の隣の部屋の人だったという。

私も隣人も、マンションができた当時に引っ越してきた。彼の性格なのかポリシーなのか、共有廊下やエレベータで会ったときに挨拶しても彼は挨拶を返さず、ちょっとうつむき加減にさっさと行ってしまうのだった。

そういう関係なので、接点もないし仲が悪いわけでもない。隣りに住んでいる人、それ以上でもそれ以下でもなかった。物音も聞こえないから、そもそも存在を意識することがなかったのだ。

おそらく彼の遺体が運び出された日、共有廊下には彼の死臭らしい臭いが残っていた。死後、発見されるまで、結構な日数が経っていたのかもしれない。存在を意識することがあまりなかったが、死臭だけが、彼が確かにそこに住んでいたことを示していた。

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