作られた英雄

7月 30th, 2019

2005年の東京優駿は違和感があった。東京競馬場には、その年の皐月賞馬の黄金の像が飾られ、レーシングプログラムにも皐月賞馬の綴じ込みのピンナップが付いていた。まるでその年の東京優駿の勝ち馬がすでに決まっているかのようだった。

そして、皐月賞馬・ディープインパクトは東京優駿も勝利し、秋には菊花賞を勝って21世紀初の三冠馬となった。

ディープインパクトの凄さは、すでに新馬戦や若駒Sあたりから話題になっていた。今年は間違いなく三冠馬が誕生する。鞍上は武豊。90年代の競馬人気は下降気味で、JRAも新たなスターを作り、競馬人気を復活させたい思いもあったのだろう。もちろんレース内容は公平で、ディープもその人気に応えるポテンシャルを発揮したのだけど、ディープを盛り上げようという空気感は異常だった。

ディープのニックネームは“英雄”。でも、“皇帝”や“芦毛の怪物”、“シャドーロールの怪物”ほど浸透してはいなかった。数々の実績を残したディープインパクトだったが、その人気は自然発生的なものではなく、最初から仕掛けられていた人気だったと今でも思う。ディープインパクトは作られた英雄だった。

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