新春浅草歌舞伎
恒例の新春浅草歌舞伎を観に行く。
もともとは若手の登竜門として、猿之助、中村屋兄弟、海老蔵、愛之助といった、まさに若手から花形に昇華せんとしているハツラツとした役者の名演が続いていた。ところが、彼らは今や名前で客が呼べる正真正銘の花形に成長したため、今年は純粋に20代の若手だけで行う興行となった。
観に行くつもりはなかったのだが、宣伝を兼ねた年末のテレビ番組の企画で松也と巳之助を見てすぐに3等の安いチケットを購入した。
今までは、ファンが速攻で買い求める3等席などすぐに売り切れるのに、あとからでも買えてしまったところが、この演目のレベルを物語っているのかもしれない。
最初の演目は「春調娘七種」。曽我物の舞踊である。座頭の松也は曽我五郎、児太郎は静御前、隼人は曽我十郎である。3人とも真剣に踊ってはいるが、どこか一杯一杯でぎこちない。荒削りだがダイナミックな隼人と、大人しい松也は役が逆の方がよかったのではないかと思った。
続いては「一條大蔵譚」。前半のキーマンである吉岡鬼次郎を演じる松也はやはり芝居が小さく、単調であった。周囲を見渡すと妻を含め、こっくりこっくり船を漕ぐ観客も多々見える。大向うも蚊の泣くような声しか出さない。ようやく歌昇が演じる主役の一條大蔵卿が登場し、物語が動いた。歌昇の一條大蔵卿は、阿呆の演技と真剣な演技のメリハリが効いて、よかったと思う。
最後は「独楽売」。演じる巳之助は青山学院大学出身で、お年玉(年始の挨拶)でも、母校の箱根駅伝での快挙について触れていた。そして、本番直前、青学の完全優勝が決まった。誰しも、母校の活躍は嬉しいものだ。おそらく楽屋で見ていただろう巳之助の演技にどう影響するか。
実際、巳之助の舞踊は父譲りでサマになっていた。相方の種之助もしっかり踊っていたし、、獅子舞との共演など、お正月にふさわしい華やかな演目で楽しめた。
若手の勉強会とはいえ、前半は物足りなさを感じていたが、後半はなかなか見応えがあった。ひと回り上の先輩役者のように、彼らがいずれ、名前を見ただけで高い席を買いたくなってしまう役者に成長することを願う。
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