思い出の代ゼミの講師

8月 27th, 2014

昨日の日記の続きとなる。

中堅大学に進学した私は大学生活を謳歌していた。だが6月頃にもう一度第一志望の大学に挑戦したくなり、「仮面浪人」となる決意をした。

大学に籍を置いたままの仮面浪人とはいえ、大学には行かず、自宅での「宅浪」だった。始めた頃には、予備校の夏期講習は締め切られていたのだと思う。よって予備校には通わず、参考書とZ会の通信添削で勉強した。

しかし、勉強のペース作りと情報収集のため、秋からは週一で代ゼミの単科ゼミに通うことにした。そこで選んだのが椿本昌夫先生の早大古文だった。椿本先生は、参考書で名前が売れているといった派手な講師ではないが、実績のあるベテランの先生だった。白い髪に全身黒の服が似合うダンディーな先生だった。

授業は淡々としているが、授業の端々で印象的な言葉が出てくる。とくに、母校である早稲田に対する話は心に響き、早稲田を志す受講生の心の拠り所となっていた。

「大学の近所のパチンコ屋の景品に高橋和巳の全集があってね・・・学生たちはそれを手に入れるために玉を弾くんですよ」

その頃にはすでに失われていた古き良き時代のエピソードだが、椿本先生は、早稲田の魅力を語ることで、早稲田を志す受講生を発奮させるのだった。私が椿本先生の授業を取ったのは、自らを鼓舞するためだった。毎回一番前の席に座り、先生の言葉を一字一句聴き逃さないつもりで聴いていた。

椿本先生の授業では、当日解説する箇所の問題の回答を有志が板書し、全問正解して翌年大学に合格すると、椿本先生から辞書がもらえるということになっていた。私も幾度か挑戦し、1度だけ全問正解したことがある。ただ、合格してから忙しかったため、挨拶にも行けず、結局辞書はもらえず終いだった。

椿本先生はとうの昔に代ゼミを離れたが、今もご健在とのこと。代ゼミは数多のカリスマ講師を世に送り出してきたが、私にとって代ゼミといえばやはり椿本先生である。

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