男のユーミン
酒井順子さんの『ユーミンの罪』を読んだ。ユーミン(松任谷/荒井由実)のアルバムを年代ごとに取り上げ、楽曲が作られる時代背景や、世の女性たちに与えた影響を軽快に検証して、面白かった。
アラフォー男子の私にとって、ユーミンはそんな時代や影響とは無縁に、SFの傍らにいた人だった。
テレビの音楽番組が情報源だった小学生の頃、映画『ねらわれた学園』の主題歌『守ってあげたい』で松任谷由実の名前を初めて知った。無論、そのときは彼女がかつて“荒井由実”だったことは知らなかった。
その後、マイルドニッカのCMソング『不思議な体験』でふたたびその名を知ることになる。アポジー&ペリジーという2台のロボット(恋人同士という設定)が滑らかに動き、舞台も地球外のような惑星で、宇宙や未来を感じさせる印象的でステキなCMだった。
そして、1984年に公開されたSF巨編『さよならジュピター』の主題歌『VOYAGER〜日付のない墓標』。映画の出来は残念ながら期待はずれだったが、主題歌だけは記憶に残った。
このように、80年代前半のユーミンは、SFとの親和性が高かった。だが、その後のバブル期になると彼女の歌は「恋愛資本主義」の象徴となり、スキー場へと連れされていってしまった。私とは関係のない世界で、ユーミンの歌は消費されていた。
1989年に映画『魔女の宅急便』の主題歌として、荒井由実時代の『ルージュの伝言』や『 やさしさに包まれたなら』が採用された。実は、松任谷由実が荒井由実だったことを、私はこの映画で初めて知ったのだ。
90年代に入っても、ユーミンは、ドラマで賀来千香子を追いかけまわしたり、橋田壽賀子先生の自伝のテーマを作るなど、多方面で活躍してたが、相変わらず違う世界の感じがしていた。
昨年、映画『風立ちぬ』の主題歌として、やはり荒井時代の『ひこうき雲』が採用され、久しぶりにユーミンの歌が心に沁みた。
このように、ユーミンは男の私にとっては違う世界に存在するのだが、たまに接近してくるような感じがする。次にユーミンの歌に心が動かされるのはいつだろうか。
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