AppleはYosemiteを2度訪れる

6月 3rd, 2014

Appleが、Mac OSの新バージョン「OS X Yosemite」を発表した。コアなMacファンなら、その単語にデジャヴを感じただろう。

iMac登場後の1999年に発売されたPower Mac G3は、iMac同様の半透明の筐体に清涼感のある青と白のツートンカラーが特徴で、その形状から“ポリタンク”とも呼ばれていた。そのPower Macに搭載されていたロジックボード(マザーボード)の名称が「Yosemite(ヨセミテ)」だったのだ。

Yosemiteとは、Apple本社のあるカリフォルニア州クパチーノから車で3時間ほどにあるヨセミテ国立公園のことだ。氷河の浸食によってできたヨセミテ渓谷が美しい観光スポットである。現在のMac OSは「Mavericks」で、これはカリフォルニア州にある海岸の名称である。

OSの名称が前バージョンまでの猫科シリーズから地名シリーズに代わり、その第2弾が、カリフォルニアアップル社員にも馴染みが深いヨセミテ国立公園となったのかもしれない。日本で言えば、関東の人にとっての箱根のような、風光明媚な観光地というイメージだろう。

だが、同じ会社でかつてハードウエアの名称として使われていたものがOSの名称で使われてるというケースは珍しい。ファンとしては、そこに“意味”を求めてしまう。

おそらく、それほど深い意味はないのだろう。むしろ、今のAppleには、かつてPower Macを開発していたような古参スタッフ、あるいはMacが好きでAppleに入社した生粋のMacファンは居ないのかもしれない。でなければ、長年のMacファンならすぐに気が付く名称をそのまま用いるはずはないのだ。

敢えて肯定的に捉えるなら、Yosemiteを搭載したPower Macは、見た目的にも性能的にもそれ以前のアイボリーカラーのMacとは一線を画していた。古いMacの時代は終わり、新しいMacの時代の始まりを感じさせた。Yosemiteは、古きを捨て新しきを取り入れるきっかけとなるコードネームなのかもしれない。

まあ、その行き着く先は、iOSとの融合であることは予想できるが。

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