立間祥介氏と『三国志演義』

6月 5th, 2014

『三国志』研究の第一人者である立間祥介氏が86歳で亡くなられた。

82年に放送されて人気を博し、ある意味アラフォー世代が「三国志」に興味を抱くきっかけともなったNHKの『人形劇 三国志』。細野晴臣作曲のオープニングテーマに乗ってタイトルが現れ、続いて“立間祥介訳「三国志演義」より”の文字が表れる。

立間祥介氏の名は、人形を手がけた故・川本喜八郎氏の名とともに、『人形劇 三国志』ファンの脳裏に刻まれていた。

私の場合、その後光栄(現コーエーテクモゲームス)の『三国志』シリーズにハマり、吉川英治の『三国志』を読み、三国志にいっそう傾倒した。目に付いた三国志の文献を読み漁り、そんな過程で立間祥介氏の『三国志演義』にも初めて触れた。

吉川英治の『三国志』は、多くの人々が『三国志』といえばまずこの作品を思い出すくらいの名作だが、一方で吉川英治によって大胆なアレンジが加えられている。立間祥介氏の『三国志演義』は、羅貫中の著書を日本語訳したものであり、吉川英治ほどドラマチックではないが、原典に触れるようなアカデミズムを感じた。

日本での『三国志』人気は衰えるばかりか、むしろ盛り上がっている。立間祥介は、日本の『三国志』人気の礎を築いた存在といえるだろう。

私も、久しぶりに『三国志』の世界に浸かりたくなった。そこには今の中国が失った、日本人が愛する古き良き中国の姿がある。

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