遙かなる渡島鶴岡駅

5月 12th, 2014

渡島鶴岡駅北海道のJR江差線の木古内駅~江差駅間が5月12日で廃線となった。木古内駅の一駅先に、渡島鶴岡(おしまつるおか)という駅がある。写真はWikipediaから拝借したものだが、ご覧のとおり、簡素な待合所があるだけの無人駅だ。しかし、この駅がある木古内町の鶴岡地区は、私の故郷、庄内と縁の深い場所なのだ。

明治18(1885)年、蝦夷地の開拓のため、庄内藩士105戸がこの地に入植した。明治維新後、職を失った庄内藩士は、未開の地を開拓し、農業に従事するようになった。現在「松ヶ岡開墾場」がある鶴岡市郊外の松ヶ岡地区もそのうちの一つだが、藩士の中には遠く蝦夷の地に渡った者も少なくなかった。そんな庄内藩士たちによって拓かれたのが木古内町の鶴岡地区である。

渡島鶴岡駅の周辺には、「山形庄内藩士上陸之地」の石碑や、鶴岡農村公園、鶴岡市の善寳寺と縁の深い禅燈寺など、庄内との関係を示す施設がいくつもある。

2008年春、私は函館や松前町など、幕末の歴史に縁の深い場所を訪れた。とても奥深い旅だった。渡島鶴岡の名前を知ったのもその時なのだが、庄内出身者として、いつかはこの場所を訪れてみたかった。

残念ながら江差線は廃止になってしまったが、ここは木古内駅から車ですぐなので、江差線が廃止になっても容易に訪れることができる。だが“渡島鶴岡”という、鶴岡との縁を示す名の駅が無くなったことは、歴史が少し薄まった気がして、寂しさを感じる。

再来年には北海道新幹線も開通する。そのときこそ木古内駅で下車し、鶴岡地区を訪れてみたい。

    カテゴリー